フリーランスにおける業務委託契約は、自由であるというメリットがある反面デメリットなどもあるので、気をつけなければ業務委託契約時にリスクを負うことになりかねません。
フリーランスとして働き始めた方、すでに働いている方はそういったリスクを考えながら契約をしていかなければなりません。
今回は、そういったデメリットやリスクに関して解説していきたいと思います。
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業務委託時の契約について
フリーランスとして働いている方は、理解している方もいらっしゃると思いますが「業務委託契約」という契約については具体的に決められた法律がなく、民法において「請負契約」と「委任契約」の2つが記載されています。
民法632条「請負」
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
民法643条「委任」
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委任し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
主にフリーランスとして働く方は、形あるものを完成させるといった「請負契約」によって仕事を請け負う形で仕事をしていると思います。
参考:業務委託と派遣契約の違いを素人でも分かるように解説します!
しかし、実際はこの「業務委託契約」に関しては「請負」か「委託」かといった曖昧なこともあり知らないうちに不利な契約が結ばれていることも少なくありません。
その契約が、お互いが気付かずに法律に触れてしまうようなこともあれば、発注者に悪意があり故意に不利な契約を受注者が結ばされることだってあるかもしれません。
それが、受注する方が気付かなければ損をすることになります。
損をするどころか、違法な契約になった場合罰を受ける可能性だってあります。
まずは、そういった不利な契約を結ばないように契約自体をよく確認することが大事です。
そして、もしその契約自体に違法性があり不利な契約だと後から気付いたときには、契約自体が無効であると、取り消すことができる場合もあるのです。
こういった、トラブルになることもあるということをよく知っておき自分の契約時に慎重に契約結ぶことに気を付けましょう。
では、具体的にどういったトラブルがあるのか起こりやすいトラブルについて解説していきます。
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派遣という形の請負契約である「偽装請負」
偽装請負とは、契約の書類上は「請負」契約になっていますが、実態は労働者の派遣である場合があり、これは違法になります。
「請負契約」とは、民法にもあるように「その仕事の結果に対してその報酬を支払うこと」です。
「派遣契約」になると発注者と受注者との間に指揮命令関係が存在することになります。
このような、偽装請負といった契約になっている場合受注者は労働者として、雇用や安全衛生面などの基本的な労働条件が確保されないということが起こります。
具体的な例としては、「請負」という形の契約をしていながら発注者が受注者に対して業務に関する細かい指示を出し、出退勤の勤務時間の管理を行うような場合です。
また、現場などで責任者として契約した場合、発注者の支持を現場に伝えるだけといった、形だけの責任者という契約も「偽装請負」にあたります。
このような、「請負」に対して「派遣」のような業務になってしまっているトラブルもあります。
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発注者があいまいになっている「二重派遣」
先程の「偽装請負」と同様に、トラブルになっているのが「二重派遣」です。
二重派遣とは、派遣元から労働者の派遣を受けた派遣先の企業Aがその派遣労働者をさらに別の派遣先の企業Bに派遣し、企業Bの指揮命令下で業務させることです。
また、派遣元と派遣先の間に何社も入っている「多重派遣」という場合もあり、指示系統がはっきりせず「業務委託契約」において契約先がよくわからなくなっているというケースもあります。
この「派遣」の場合、職業安定法において以下のような条文があります。
職業安定法第44条(労働者供給事業の禁止)
何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行うものから供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
職業安定法第45条(労働者供給事業の許可)
労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。
職業安定法第45条の2(労働供給事業者の責務)
労働者供給事業者は、労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に資するため、当該事業の運営に当たっては、その改善向上を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
そして、平成30年9月には上記の法律に違反した企業が、大阪労働局にて「システム開発事業者へ「二重派遣」を行っていた派遣元事業主2社に対する行政処分が行われた、という事例もあります。
この場合は、3カ月間の労働者派遣事業停止命令と、労働者派遣事業改善命令が下されました。
このように、違法な契約は行政処分を受けることもあるのです。
契約時には「請負契約」に対して、契約内容をよく確認して把握しておく必要があります。
契約書類作成に関して不安があるときは、専門家に相談してみるのもよいでしょう。
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クラウドソーシングにおける業務委託契約の注意点
業務委託契約のひとつ「クラウドソーシング」は、最近では自宅にいながらパソコンなどで、時間や勤務先などを気にすることなく仕事ができるということで、注目されている業務スタイルです。
副業としてクラウドソーシングの仕事をしている人もたくさんいらっしゃると思います。
クラウドソーシングは、就職するのとは違い仕事を請け負う際に面接等があるわけではなくインターネットを通して仕事の受注・発注を行うので、トラブルになるケースも多々あります。
それでは、どういったトラブルに気を付ければよいのでしょうか。
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受注・発注の不安
お互いの素性がわからないという、不安もあり発注する方は成果物をちゃんと納品してくれるだろうか、また受注する方は納品してちゃんと報酬を払ってくれるのだろうか、という不安感は拭い去ることはできません。
このようなことがないように、お互いに身分を証明すること、クラウドソーシングサービスを利用して仲介するとういった方法が安心でしょう。
業務上のコミュニケーション
また、仕事をする上でインターネットなどによるやりとりになるので、コミュニ―ションがちゃんととれるか、とういうことも問題になってきます。
業務上において、お互いの意見が食い違う場合などトラブルの元になりますので、コミュニケーションツールなどを利用している場合、証拠として残しておくとよいでしょう。
また、コミュニケーションが取れないと、業務の進捗にも差支えが出て、先ほど述べたような業務上の不安につながりますので、トラブルになる場合もあります。
請負契約の責務
クラウドソーシングではお互い顔が見えない中での契約のやりとりになります。
業務を請け負う際には、対面であろうとなかろうと受けた仕事に対する責務は変わりません。
仕事ができなかったからといって、納品せずに投げ出すのは論外です。
また、作業中に損害が発生してしまった場合は請け負った受注者が賠償責任を果たすケースもありますので、業務上において注意する必要があります。
クラウドソーシングでも、収入があれば納税の義務はありますので、そういった金銭的な面も意識して必要に応じて対応しなければなりません。
業務委託契約というものは、自由であることがメリットでもあり、自由であるがゆえに自己責任というのは大きなデメリットにもなるということを覚えておきましょう。