サイトを閲覧しているとき、アドレスバーに「保護されていない通信」という警告が出て、ドキッとしたことはありませんか?
実はそのサイトは、データ通信のセキュリティを強化する「https化」が非対応となっています。サイトの「https化」はGoogleが推進しており、SEOにも効果があるとされています。
今回は、https化はSEOにどのくらい効果があるか、そしてhttps化のメリットとデメリットは何かをご説明していきます。
Contents
httpsとは?
閲覧したいページのWebサーバーからデータを取得するためのプロトコル(=共通の手順や約束事)のことを、http通信といいます。
httpsとは、このhttp通信をより安全に行うためのプロコトルのことで、末尾のsはSecure(安全な)の略です。
従来のhttpではデータ通信は暗号化されておらず、フォームへ入力した個人情報などの盗聴(盗み見)や改ざんの危険性が指摘されていました。クレジットカード情報など、個人情報を扱うサイトでは、盗聴は致命的なリスクとなります。
そうした問題を背景に、httpsではSSLという技術によってWebサーバとのデータ通信を暗号化し、盗聴などの脅威を防げるようになっています。また、SSLは通信内容の改ざんを検知でき、より安全性が高まりました。
httpsの導入は世界的に進んでおり、すでに9割以上のサイトがhttps化されています。
Googleも明言。https化はSEOに効果あり
2014年8月、Googleはウェブマスター向け公式ブログにて、「セキュリティはGoogleの最優先事項です」と述べ、https化したサイトをランキングで優遇することを明かしました。
つまり、https化はSEOに効果がありあす。
その後、Googleのhttps推進の姿勢を表すものとして、Google Chromeに、対応サイトのアドレスバーには鍵マークが付き、非対応のサイトでは「保護されていない通信」という表示が出るようになりました。
対応済みのサイト
非対応のサイト
https化のSEO効果はどれくらい?
検索エンジンのランキング付けは、コンテンツの質や被リンクの数などさまざまな指標に基づいていると言われています。
では、https化はSEOにどの程度の影響を与えるのでしょうか?
この点について、先述した2014年8月のウェブマスター向けブログが言及しています。次の通りです。
このランキングの変更は、グローバルでクエリの1%未満にしか影響しませんが、これから長い期間をかけて強化していきます。全体的に見ると、このシグナルは良質なコンテンツであるといった、その他のシグナルほどウエイトは大きくありません。httpsは、優れたユーザーエクスペリエンスを生み出す多くの要素のうちの1つです。
基本的に、2014年時点ではhttps化のSEO効果は微少なものとされていました。「これから長い期間をかけて強化していきます」と述べられていますが、2019年現在でも、https化によるSEO効果は限定的という意見が一般的です。
しかしもちろん、SEO的にもセキュリティ的にもhttps化は行った方がベターであることは間違いありません。
コンテンツ制作面でのSEO対策については、こちらの記事をご参照ください。
https導入のメリットとデメリット
サイトのhttps化を進める前に、導入のメリットとデメリットについて理解しておきましょう。
メリット1 安全性が高まる
https導入の最も大きなメリットは、顧客の個人情報を盗聴や改ざんから守る効果です。特に、個人情報やクレジットカード情報を扱うECサイトでは必要性が高いでしょう。
メリット2 SEO対策になる
Googleのランキングの指標となっており、SEO効果が期待できます。また、https化したサイトは流入ユーザーにとっても信頼でき、サイトの滞在時間やリピート率に良い効果を与え、間接的にSEOに貢献することが考えられます。
メリット3 表示速度を上げられる
以前は、https化すると表示速度が落ちると言われたこともありますが、現在ではhttpsの方が表示速度で上回っています。
というのも、Web高速化プロトコル「http/2」といった新しい技術が生まれ、これに対応したサーバーではhttpsの表示速度を高められるためです。なお、速い表示速度もSEOに好影響があるでしょう。
デメリット1 費用がかかる場合がある
https化(=常時SSL化)には、SSLサーバー証明書の発行が必要となり、10万円以上のコストがかかることもあります。
SSL証明書の認証レベルが厳格になるほど、証明書が高額になっていきますが、そのぶんユーザーに高い信頼感を与えられます。
一方最近では、サーバーによってはSSLサーバー証明書を無料で使えることも多く、コスト面の懸念は取り除かれつつあります。
デメリット2 ソーシャルカウントはリセットされる
下記のようにSNSへの拡散数(ソーシャルカウント)を表示している場合、https化によりカウント数はリセットされ0となってしまいます。
ソーシャルカウントは記事の質を測るために重要な指標ですので、Web運営者、そして一部のユーザーにとってもデメリットとなるでしょう。
https化することは、つまりURLが変更になるということです。せっかく検索エンジンで上位表示されているページが、https化により圏外に飛ばされないか心配する方もいるでしょう。
しかし、この点についてはGoogle社員が質問プラットフォームにて回答しており、「一時的に不安定になる場合はある」としつつも、「正しい設定で移行すれば元の状態は維持される」とのこと。つまり、https化してもSEOの評価は引き継ぐことができますので、心配の必要はないでしょう。
まとめ
ほとんどの大規模サイトではhttps化は完了していますが、中小規模のサイトでは非対応の場合もあります。
もし皆さまが携わるサイトが非対応であれば、すぐにでもhttps化を提案しましょう。言い換えると、中小規模のサイトでhttps化を実施すれば、競合サイトにSEOで優位に立つことができます。
SEOで最も大切なのは良質なコンテンツを作ることですが、こうしたサイトの裏側も強化して、さらにサイトの価値を高めていきましょう。