近年、日本企業にとって海外市場の重要性は一段と高まっています。海外への進出を視野に入れている、あるいは海外に自社製品の販路を広げたいと思っている企業にとって、海外Webマーケティングを利用しない手はありません。
この記事では、
「海外進出したいけど、何から始めたらいいかわからない」
「既に英語でのWebサイトがあるけれど、売上が思うように上がっていない」
といった方向けに、海外Webマーケティングの特徴と成功ポイントを取りまとめました。
\未経験・初心者から3ヶ月でプロのWebマーケター!/
Contents
海外Webマーケティングの定義と必要性
海外Webマーケティングとは?
海外Webマーケティングとは『海外市場を対象として、ユーザーをWebサイトに集客し、商品やサービスの購入につなげるためのマーケティング活動』のことを指します。
海外進出を検討している企業が、
「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するか」
を決め、マーケティング戦略を企画し、制作・運用していくことです。
海外進出にWebマーケティングが必要な理由
海外のマーケット市場を狙っている企業は、「海外Webマーケティング」を活用して、海外市場のニーズを探るのが有効です。
インターネット接続は従来の電話やFAXといった通信と比較して安価で簡単に始められるのが特徴です。また、伝えられる情報量やリアクションの速さなどにおいてもWeb環境は過去のものとは比べものになりません。
そして通信に用いられるプロトコル、検索アルゴリズム、プログラミング言語、OSおよびSNSなどのプラットフォームが世界的に統一されており、情報発信が国内・海外を問わずスムーズに行えるようになってきました。
また、Webマーケティングであれば、どんな属性の消費者がどのサイト・SNSを利用しクリックしたのか、購入までどのような行動を起こしたのかなど各項目で数値化できます。
海外進出という新たな市場の開拓では、情報収集は必要不可欠です。解析ツールを用いて経時的な数値情報が取得できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
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海外Webマーケティングの特徴(国内との違い)
このセクションでは、海外Webマーケティングを行う上で知っておきたい特徴を、国内の状況と比較しながら以下の項目に着目して説明します。
● 市場規模
● 言語
● 文化・教育
● スピード感
● 国別Webマーケティングの特徴
市場規模
2021年の日本のデジタル広告費の総額は2兆1,571億円(155億米ドル)に対し、世界のデジタル広告費の総額は3,470億米ドルで、日本の約22倍もの広告費が使われています。今後も世界のデジタル広告費は順調に拡大し、2025年には4,828億米ドル(約1.4倍)になると予測しています。
言語
「海外Webマーケティング」は外国語のWebサイトを活用するマーケティング活動であるため、国内のWebマーケティングとは言語が異なります。
Wikipediaの『ネイティブスピーカーの数が多い言語』によると、日本語話者数は1億3400万人です。一方、英語を話す人口は5億3000万人います。英語でのWebマーケティングを行う場合、単純計算で国内のおよそ4倍の潜在顧客を発掘できる可能性がありますが、業務全般のやりとりが英語になることを想定し、対策を講じることが重要です。
参照:Wikipedia(ネイティブスピーカーの数が多い言語の一覧)
文化・教育
文化背景や教育方針が違えば人々のライフスタイルや生活習慣は異なるため、ものの見方、考え方も異なってきます。
ビジネスにおける海外と日本の文化の違いを理解して海外Webマーケティング戦略を策定する必要があります。
● 海外では直接的な言い回しをする
日本は遠回しな言い回しを好みますが、海外では言い回しがストレートです。明確に伝えなければ文脈を理解してくれません。
海外文化を理解していないと、コミュニケーションは上手に取れません。伝えたいことを「シンプル・丁寧・効果的」に話すのが大切です。
● 日本ほど上下関係が重要視されるとは限らない
海外では部下と上司は下の名前で呼び合う場合も多く、名前をあだ名で呼び合うといったこともよくあるのです。
日本の場合、入社が1年早いだけで上下関係ができてしまい、丁寧語や尊敬語を使用させる企業が多くあります。しかし海外では当たり前ではないと理解する必要があります。
教育の特徴も思想や価値観の違いに大きく影響してきます。
海外の教育は“教える”というよりも、“生徒一人ひとりの可能性を導き出す・個々の力を伸ばす”という意味合いが強く、出来ないことを叱ったり注意したりすることよりも、それぞれの能力や才能を伸ばすことに重点を置いています。
日本のように“みんな一緒”の教育ではなく、生徒それぞれの能力に合わせた教育を行うのが特徴的です。
日本では流行が広がる速度が速く、友達のファッションをすぐにまねしたり、競合他社が行っている施策を取り入れるスピードが早い傾向があります。
一方で海外では「自分は自分、他人は他人」という考え方が強いので、独自のファッションセンスや信念を持っている人が多い傾向にあります。
海外市場では一時期の流行によって爆発的にヒットするということよりは、認知されたものは長い期間に渡って愛されることのほうが多いです。
スピード感
日本のマーケティングでは「計画」が重視され、海外のマーケティングでは「スピード感」が重視されるという違いがあります。
たとえば、日本ではターゲット層やその層が好むものなどを調査し、緻密な計画を組んで広告を出稿することが一般的ですが、海外では大まかなプランだけで、とりあえず広告を出稿します。そうして結果の良かったものだけを改良して、新たな広告を出稿します。結果が悪かったものに対して細かい分析をすることは、あまりありません。
日本のマーケティングが百発百中を狙うのに対し、海外のマーケティングはトライ&エラーを繰り返しながらより良い結果を得ていくようなイメージです。
さらに、海外企業は意思決定においても日本よりスピーディーです。その理由は、意思決定方法の違いにあります。海外企業がトップダウン式を採用しているのに対し、日本ではボトムアップ式を採用しています。
トップダウン式:経営陣が意思決定を下層部へ通達、従業員がそれに従うスタイル
ボトムアップ式:現場が意見を上層部に伝え、上層部がまとめるスタイル
海外の意思決定スピードに対し、日本企業の出す結論は遅いと言われています。海外企業と取引をする際は、相手の意思決定のスピードに遅れないように注意しましょう。
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海外Webマーケティングの手順
海外でWebマーケティングを行う手順は以下の通りです。
● 企画・立案および情報収集
● 海外向けのWebサイト制作
● 運用・改善
これらのステップの中で重要な項目を中心に紹介します。
企画・立案および情報収集
どんな企業でも企画に関して最初に行うのは、自社のどんな点を中心に売り出していくかを決めることです。会社の強みは何なのかを分析し、それをベースに戦略の立案を進めていきます。
自社の強みを検討する際、「比較優位性」をはっきりさせることです。競合他社との違いが説明できること、既存ユーザーの把握と今後伸ばしていきたいユーザー像をしっかりと理解していることが大切です。
その後、同業他社のサイト分析を行っていきます。日本語サイトだけではなく、英語などの外国語のサイトもチェックし、自社の強みと比較しながら同業他社の情報を確認していきます。この分析も企画段階で重要です。
企画段階では市場調査も行います。進出先の国の特徴や法規制を理解し、その国のユーザーのニーズや生活習慣、趣味嗜好などにマッチするビジネス展開をする必要があります。
海外向けのWebサイト制作
日本語サイトをただ翻訳するだけではなく、現地のユーザーに合わせたWebサイトの制作が重要です。その際にはSEOを意識することが大切です。
参照:https://gs.statcounter.com/
世界の統計を見ると、Googleの世界シェア状況は89〜93%台を獲得しています。このことから、SEOにおいてはGoogleの対策を行うことで、ほとんどのシェアをカバーできると考えられます。一部の国(中国、ロシアなど)ではGoogle以外の検索エンジンがシェアを占めている状況もあるため、海外進出を行う地域の状況を事前に調査することが重要です。
国内のWebマーケティングで既にGoogle対策を実行している場合は、全く同じ手法を講じればよいということもメリットの一つです。
運用・改善
Webマーケティングは万能ツールのように感じるかもしれませんが、実際はそんなことはありません。
施策には費用も時間もかかります。競合も運用しながら改善を繰り返しています。その相手に対して戦っていかなければいけません。
運用・改善のフェーズでは以下のことを意識することが大切です。
・顧客がどこでどのようなアクション(イベント)を起こしているのかを把握して、Webのどこで自分たちのアピールをすれば良い効果が出るのか
・「すぐに効果が出るもの」「時間がかかるもの」はどの施策なのか
市場の動向は日々刻々と変化していきます。過去の施策で効果が発揮されたとしても、通じなくなることがあります。
効果的なPDCAを実践するためにもWebマーケティングで経時的な定量変化をモニタリングすることが大切です。
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海外Webマーケティングの成功ポイント
海外Webマーケティングの特徴や手順を紹介してきましたが、これらには国内でのWebマーケティング対策と類似していることがたくさんあります。これらを踏まえたうえで、海外Webマーケティングを成功させるためのポイント(心得)を以下にまとめました。
日本国内でのWebマーケティングの条件確認
前述した『自社製品の棚卸』を分析する際に、国内でのWeb解析の条件も再度確認しておくことが大切です。
Webマーケティングの良さの一つとして、データの取り扱いと解析手法は国内・海外を問わず、同じであることです(厳密には検索エンジンにより異なります)。
国内での実績を徹底的に分析することで、海外進出した際に、条件や販売傾向が変わったとしてもデータ解析から課題抽出や改善策の立案が可能です。
継続と忍耐力
実際の運用では、事前の情報収集だけでは把握しきれない新たな情報や、実務での予期せぬ出来事が起こるものです。
これらの問題に対して、担当者はWebマーケティングを利用しながらデータ収集・分析を行い、業務の改善を行っていきます。この繰り返しを粘り強く行うことが、海外Webマーケティングを成長させるポイントです。
日本では考えられないような出来事や意見(クレーム)が入ってきます。これらを「今までにはなかった新しい見識だ!」と捉えて、課題に対して真摯に取り組む。これらを繰り返す継続力と忍耐力が大切です。
結果が出るまでは時間がかかります。多少のリスクは覚悟の上で、辛抱強くPDCAを回すことが必要です。
真摯に向き合う姿勢とホスピタリティ
「ホスピタリティ」は、「思いやり」「心からのおもてなし」という語彙で、サービス業や人に関わる企業でよく使われている言葉です。相手の心に深い心地良さが加わることで、感動、信頼や信用、安心感が生まれます。
日本独自の文化「おもてなし」の素晴らしさは、ただ単に「サービスの品質」の高さではなく、伝統文化を織り交ぜた細やかな気配りがあり、その物事や人に真摯に向き合う目に見えない人の心です。
外国人が日本へ旅行した際に感動することの一つとして日本人の接客対応があります。言葉の壁はあるものの、その心や「おもてなし」は感動を与え、リピートにつながる重要な要素です。
このことは対面接客に限ったものではありません。日ごろからの「おもてなし」の心がWeb上でのクレーム対応や顧客満足度を高めるのです。
自社製品の強みと同様に、日本企業と日本人の対応力の高さを存分に発揮して、海外Webマーケティングを成長させて行くことが大切です。
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日本国内でのWebマーケティングの重要性
ここまでは海外Webマーケティングの特徴や手順、成功のポイントなどを述べてきましたが、海外展開を考えていく上では日本国内のWebマーケティングをしっかりと対策しておくことが重要です。
Webマーケティングは対象地域が変わっても手法は同じです。日本国内でのWebマーケティングの重要性を再認識して、海外進出の対策を講じましょう。
日本で成功していなければ海外展開は難しい
ビジネスを立ち上げて日本での実績がないまま、いきなり海外展開を考える企業は少ないと思いますが、資金面や実績においても日本市場で軌道に乗せることは重要です。
日本人が日本人の特徴を理解しているにもかかわらず、商品を売ることが難しいのです。ましてや文化も言語も違う地域に展開するのは至難の業です。
日本の成功事例をそのまま海外に展開しても成り立ちませんが、成功体験をしっかりと分析して挑めば、応用が利きます。
海外展開から国内販売を再評価する
逆輸入されて日本で流行する事例はいくつもあります。その一つを紹介します。
”カリフォルニアロール”
まだ日本料理が海外で認知されていなかった頃の話です。日本の巻寿司は海苔が表に出ているのが常識でしたが、外国人は海苔の黒さを嫌がりました。
「どうにかして巻物を食べてもらいたい。」そこで海外進出した寿司職人は【裏巻き】という、シャリを外側に出して巻いていくスタイルを考えました。そこにアボカドとクラブミート(カニのほぐし)にマヨネーズという、日本人では想像もしないネタを入れて提供することで、爆発的にヒットしました。今では日本の寿司屋でもカリフォルニアロールを筆頭に、裏巻きの巻き寿司を食べることができます。ちなみに、外国人は握りのお寿司より”Sushi Rolls”が大好きです。
自社の商品を海外で販売すると、思わぬ使い方やアイデアが得られるものです。その方法を日本で販売すれば、新たな顧客層を獲得できる可能性もあります。苦労して、努力して海外進出した成果が報われる時が来るでしょう。
【国内対策×海外展開】でならなる発展を
海外展開を検討するうえで国内販売の再評価を行う
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海外市場での経験から自社のPR方法や商品の改良が行われる
⇩
海外展開で得られた経験を国内販売の戦略に結びつける
グローバルなPDCAを行うことで、さらなる発展につながります。企業が成長するためにも海外進出を行い、商圏を世界へ広げていきましょう。
海外進出を行うことで、今までにはなかった企業や人とのつながりも得られます。
あらゆる分野での”Japanese Brands”が世界で認知され、発展していくことを応援しています。
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