データベースマーケティングとは?|具体例を用いて分かりやすく解説

13期生
データベースマーケティング

データベースを活用したマーケティングは、顧客へのアプローチが効率的になり、自社の利益拡大に有効な手法です。

「データベースマーケティングってどんなもの?」

「顧客情報などのデータベースを保有しているけれど、マーケティングへの活用方法が分からない・・・

そういった方向けに、データベースマーケティングの意味や事例について、実際の企業を例にあげて分かりやすく解説します。この記事によってデータベースマーケティングについて理解を深め、ぜひあなたの会社の利益向上に役立ててください。

それでは初めに、データベースマーケティングの基礎知識から学んでいきましょう。

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そもそもデータベースマーケティングとは?

データベースマーケティングとは

データベースマーケティングとは、企業が所有するデータベース内にある顧客情報(購買履歴や属性情報など)を活用したマーケティング手法のことです。

以下に具体例をあげます。

【例】
〇あるドラッグストアで、女性化粧品のそばに日焼け止めの商品棚を設置していた
→しかし、夏場が近づくと、男性のお客様から「日焼け止めはどこに置いてあるのか」
という質問が、多数寄せられていることが分かった
→そこで夏季の間に、日焼け止めの商品棚を男性用化粧品のそばにも設置した

▶男性顧客における日焼け止め商品の売上が伸びた

このように、蓄積された顧客情報を管理・分析することで、顧客のニーズを明確にすることが可能となります。そのニーズにマッチした効率的なマーケティング施策を行うことで、自社の売上や業務効率の向上を可能にします。これが、データベースマーケティングです。

続いて、よく混同されやすいCRMやデータドリブンマーケティングとの違いを見ていきましょう。

1.1 データベースマーケティングとCRMとの違いは?

Customer Relationship Management(CRM)は顧客情報を記録・管理し、それぞれの顧客に適した個別対応を行うマネジメント手法のことです。顧客に対して個別のアプローチを考えていくことで、顧客との関係性の強化を主な目的としています。

一方データベースマーケティングは、そのCRMによって蓄積したデータを活用するマーケティング手法です。顧客との関係性強化だけでなく、販売促進活動や商品開発といったマーケティング活動にも応用ができます。

以下に具体例を示します。

【CRM】
〇「35歳の男性客Xさんが、週末の夜にビールを購入する」というデータがある
▶新商品のビールを、週末の夜にXさんに勧め、購入につなげた

【データベースマーケティング】
〇店舗のデータを蓄積・分析した結果、以下の傾向が分かった
「30代男性は週末の夜にビールを購入する傾向がある」
▶週末の夜に合わせて、新商品のビールのクーポンやキャンペーンを開催し、売上を上げた

1.2 データベースマーケティングとデータドリブンマーケティングの違いは?

データドリブンマーケティングとは、収集したデータの分析結果を基にして意思決定を行う、マーケティング手法のことです。

データベースマーケティングと類似していますが、主な違いとして分析するデータ量があげられるでしょう。

データベースマーケティングは主に、あらかじめ収集するデータが決められているデータベースを分析し、マーケティングを行います。

一方、データドリブンマーケティングでは、データベース化が難しいとされる動画や画像、企画書などのoffice文書といった、ビジネスで取得したあらゆるデータを基にマーケティングを行います。

膨大なデータを収集・分析することで、従来のデータベースマーケティングでは難しかった未来予測を行ったマーケティング施策を展開することが可能となります。

しかし、この手法では膨大な量のデータを蓄積可能なシステムやデータを分析可能な人材も必要となります。データベースマーケティングに比べ、より高度な設備と技術が必要となるでしょう。

それでは次に、データベースマーケティングを導入した際のメリットについて解説していきます。

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データベースマーケティングのメリットは?

黄色と水色に電球

データベースマーケティングにおける代表的なメリットを3つ紹介していきます。

2.1 販売促進活動の効率化とコスト削減

データベースマーケティングを導入することで、データ管理や営業に関する人的コストの削減と、効率的なアプローチによる自社の売上向上が期待できます。

例えば、顧客情報の管理・運用にデータベースを活用することで、これまで手動で行っていたデータ管理の手間を減らすことが可能となり、人件費を削減することが可能となります。

また蓄積したデータを利用することで、既存顧客に対して、無駄なアプローチの工数を削減し、ニーズに合った効率的なアプローチを行うことも可能です。

【例:ダイレクトメールの送信】
〇購入履歴のデータ分析により、以下の傾向が分かった
「商品Aを購入した顧客は、三か月以内に再度同じ商品を購入する可能性が高い」
→そこでデータベースから「三か月以内に商品Aを購入した顧客」というターゲットを抽出し、その顧客に商品Aのクーポンがついたメールマガジンを送信
▶その顧客層の商品Aの再購入につながった

このように、ターゲット層の選定や抽出、アプローチを効率的に行うことで、広告や営業費用をかけずに、売上をアップさせることが可能となります。

2.2 機会損失の回避

データベースマーケティングでは、既存顧客へ長期的に継続したアプローチを行うことで、機会損失を未然に防げます。

データベースには顧客が企業の商品やサービスを利用、または何らかの問い合わせを行ったという情報が蓄積されています。その情報から、顧客がその商品やサービスを必要とする時期を分析することで、顧客に適したタイミングでのアプローチが可能となります。

【例:ECサイト】
〇ECサイトの広告を見た顧客が、二週間分のお試しセットを購入した
→お試しセットを使い終わる二週間後に、顧客に対して定期購入の案内メールを送信
▶化粧品に好印象を持った顧客を取りこぼすことなく、定期購入の申し込みへつなげることが可能

このように顧客の関心が高まった時期にアプローチをすることで、顧客のニーズを満たすことが可能となり、競合他社への流入を防ぐことが可能です。

2.3 顧客との関係性強化

データベースに蓄積された顧客情報を活用することで、顧客との関係性を強化できます。それにより、既存顧客からの受注・購入率の向上や既存顧客からの紹介による新規顧客の獲得につなげることができます。

【例】
〇データベースで顧客情報を一元管理し、各部署での情報共有を可能にした
→部署や担当者が異なる場合でも、顧客に対して、一貫性のあるきめ細やかなアプローチが可能になった
▶既存顧客との関係性が良好になり、受注率の向上につながった

さて、ここまででデータベースマーケティング導入時のメリットについて説明してきました。導入により、複数のメリットが得られることをお判りいただけたでしょうか?

次に実際にデータベースマーケティングを活用し、自社の利益を拡大した企業の例を見ていきましょう。

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企業での活用事例

企業での活用事例

それではデータベースマーケティングの企業での活用事例を具体的に解説します。

3.1 株式会社ヤクルト

飲料メーカーの株式会社ヤクルトでは、Spotfire というツールを導入し、小売店での同社商品と競合商品の売上比較や棚割商品の回転率等のデータ分析を行っています。

その分析の結果、一人暮らしまたは二人ぐらいの高齢者世帯が、ヤクルトのヘビーユーザーであることがわかりました。また統計の結果から女性客は少量を頻繁に、男性客は大量のパックをまとめ買いする傾向にあることも分かりました。

このように同じ商品であっても、サイズの違いで購入する客層が異なることを突き止め、両方の顧客が購入しやすいように、ヤクルト7本パックと大量サイズの15本パックを並べて販売し、売上を伸ばしました。

3.2 株式会社あきんどスシロー

回転寿司チェーン店のスシローでは、すしの皿にICタグをつけて、レーンを流れるすしの売上や廃棄率といったデータを収集しています。さらに、Quickviewというツールを用いて、それらのデータの可視化と分析を行っています。

スシローでは新商品の開発にも力を入れており、データ分析ツールを導入したことで、開発部でのデータ分析も可能となりました。それにより、商品開発担当者が、自分で過去の販促や試験販売の結果を分析することが可能となり、商品開発の効率が大幅に改善しました。

その他にも、データ分析により、主力だと思っていた商品をメニューから外した後も、実際の売上にはほとんど影響がなかったことが判明し、思い込みで隠れていた事実の可視化にもつながりました。

3.3 サントリーホールディングス

清涼飲料水等の販売を行うサントリーはこれまでの二社と異なり、他社のデータベースを利用することで自社のマーケティング活動の分析や自社商品の売上向上を成功させました。

サントリーはマーケティング活動として製品のマス広告(特にTVCM)を行っていました。しかし、実際にマス広告が顧客の購買行動に繋がっているか、データの可視化はできていませんでした。

そこでCCCMKホールディングスのTV視聴データを利用し、最適なTVCM接触回数や、TVCMの新規・既存ユーザーに対する効果といったデータを可視化することを可能にしました。

さらにCCCMKホールディングスはT利用者の顧客情報データベースも所有しています。そのため、サントリーはT会員の年齢や購買履歴からターゲティングを行い、製品のクーポンを発券することで、対象チェーンでの売上を前年比130%に伸ばしました。

3.4 株式会社ニトリ

家具やインテリア商品の小売を中心に行う株式会社ニトリも他社のデータベースを利用することで、業務効率や営業先のターゲティング効率を向上させました。

ニトリではこれまで、法人営業の際、法人情報の収集を各営業担当者がインターネットを利用して行っていました。しかし、この方法ではリサーチに時間がかかり、かつ情報が属人化してしまうデメリットがありました。

そこでユーソナー社の法人データベースとサイドソナーを利用することで、法人情報取集にかかる手間と時間を削減し、営業担当者の負担を大きく軽減することができました。

その他にも、移転情報のある法人にオフィス商品を提案する、HPやカタログページを閲覧した法人に早期にアプローチを行うなど、データを活用することで効率的に法人へのターゲティングと営業が可能になりました。

以上のように、データベースマーケティングを導入することで多くの企業で売上や営業効率が改善したという結果が得られています。

続いて、実際にデータベースマーケティングを行うためにはどうしたらいいのか、段階に分けて解説します。

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データベースマーケティングの方法は?

データベースマーケティングの方法

データベースマーケティングの方法を以下の3つに分けて解説します。

1.顧客データを収集・蓄積する
2.データを分析する
3.施策を立案・実行・検証する

4.1 顧客データを収集・蓄積する

第一に分析の基となる顧客データの収集・データベースへの蓄積を行いましょう。

以下に収集するべきデータの代表例をあげていきます。

収集データの代表例

〇顧客属性(氏名、年齢、生年月日、居住地など)
〇行動情報(Webサイトやアプリの閲覧データ、ダイレクトメールの開封率など)
〇購買データ(購入商品、購入時期、購入数、価格など)
〇定性データ(顧客からの商品への要望や感想、クレームなど)

上記は個人向け営業(BtoC)の例です。法人向け営業(BtoC)の場合には、基本情報として会社名や所在地を、行動情報として電話・メール内容、商談の履歴といった項目を収集しておくとよいでしょう。

また収集したデータはそのままでは分析に用いることはできません。ExcelやCRMツールを活用し、データベース化していきましょう。

ここで避けていただきたいことは、やみくもにデータ収集を行い、そのデータをそのままデータベース化することです。収集データの項目が多すぎると、データ管理が煩雑になり、作成したデータベースをうまく運用できない可能性があります。

自社のデータベースマーケティングの目的を明確にした上で、必要となるデータの選定を行い、データ収集とデータベース化に取り組みましょう。

4.2 データの分析を行う

次に蓄積したデータを分析し、施策を検討していきましょう。

収集したデータには様々な顧客データがあります。それらを下記に示すような分析手法を用いて、同じ共通点を持っているグループ(セグメント)に振り分けます。

ここで代表的な分析手法3種類について、説明していきます。

【データの分析手法】

クラスター分析 デシル分析 RFM分析
概要 〇属性の異なる大きな集団
→類似したものを集める
→グループにする
〇顧客の購買履歴データ
→購入金額の高い順にする
→10個のグループに分ける
〇Recency(直近購入日)
〇Frequency
(来店や購入の頻度)
〇Monetary
(累計購入金額)
→3つの指標でグループに分ける
特徴 〇明確な分類基準を設定しない
〇類似性からグルーピング
→大量のデータから顧客層の特性や傾向を把握することが可能
〇各グループについて
購入金額分析
〇売上構成比
→自社顧客内の優良顧客層を把握し、マーケティング戦略の優先順位を明確にすることが可能
以下を可視化
〇優良顧客
(直近購入日が近い、来店頻度、購入金額が高い)
〇休眠顧客
(直近購入日が遠い)
→顧客ごとに適したアプローチ方法の検討が可能

上記のように使用する分析方法によって、分析するデータの種類や分析で得られる効果が異なります。データ分析の目的や活用するデータに合わせて、適した分析手法を選択していきましょう。

4.3 施策の立案・実行・検証を行う

データ分析を行った後は、得られたセグメントごとに最適なアプローチ方法を立案・実行していきましょう。

アプローチ方法の例として、以下のものが挙げられます。

アプローチ方法の例

〇売上構成比の高い優良顧客層の豊富なデータをもとに、ニーズや嗜好に合った新商品の
告知やサンプリングを行い、購入を促す
〇休眠顧客に対してのみ大胆な値引きクーポンを発券し、再来店を促す
〇新規顧客に商品の効果的な使い方やオプションサービスなどの情報提供を行い、商品使用 およびリピート購入を促す

このようにセグメントごとに適したアプローチを立案・実行することで、顧客の購買意欲の向上や顧客との関係性強化につなげることができます。

また、施策の実行後は必ず施策への反応について検証を行い、データのフィードバックを行いましょう。検証を行っていないと、施策の効果や成功・失敗要因について把握ができず、施策の再実施や改善などの意思決定ができません。

実施後の検証を忘れずに行い、マーケティングのPDCAサイクルを円滑に回していきましょう。

4.4 注意点

最後にデータベースマーケティングを行う際の注意点を2つ説明します。

1つ目の注意点は、「分析に使用するデータベースは、定期的に更新し、常に最新の情報を反映させること」です。

顧客情報は常に変化しています。データベースの情報が古いままでは、「古い情報をもとにして郵便物やダイレクトメールを送付する」といった、顧客のニーズに合っていないアプローチ方法を行ってしまうリスクが発生します。

定期的な更新を行うため、データベースをアップデートするスパンを決めておくとよいでしょう。また顧客から直接情報を得られる営業や接客スタッフが、得た情報をすぐにータ化できるルールや体制を作ることも重要です。

2つ目は「アプローチする顧客は生身の感情を持った人間だということを意識すること」です。

データベースマーケティングでは、どうしてもデータ収集や分析の結果に目が行きがちになります。しかし、このマーケティング手法の最終的な目的は「顧客のニーズを満たすことで、顧客と良好な関係性を築く」ことです。

データの分析結果だけをもとに機械的なアプローチを行うのではなく、「顧客のニーズを満たすためにデータの活用と分析を行っている」という視点を忘れずに、施策を立案・実行していきましょう。

4.5 企業のマーケティングサービスの利用も視野に入れよう

ここまで具体的なデータベースマーケティングの方法について解説しました。しかし、この記事を読んでも、自社のマーケティング技術のみでは、データベースマーケティングの導入は難しいと感じた方もいらっしゃると思います。

その場合には、マーケティング会社のコンサルティングサービスの利用がおすすめです。

「3. 企業での活用事例」のパートで紹介したCCCMKホールディングスや株式会社ユーソナーは、Tポイント会員の顧客データや法人データと、自社データベースを組み合わせたマーケティング施策のサポートを行ってくれます。

また自社が所有するデータベースのマーケティング支援・コンサルティングサービスには下記の企業がおすすめです。自社のデータベースの有効活用にお悩みの方は、サービスの利用を検討してみても良いでしょう。

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データベースマーケティングを有効活用しよう

寝転んで本を読んでいる

今回は、データベースマーケティングについて、企業での活用事例をあげて具体的に説明しました。

本記事の要点は、以下のとおりです。

要点

〇データベースマーケティングはCRMで蓄積した顧客データを分析し、各顧客層に適した アプローチを行うマーケティング手法のこと
→導入することで、自社の売上や業務効率の向上、顧客との関係性強化が期待できる

〇データベースマーケティングを行う際には、自社の目的に合わせて、活用データと分析手法を適切に選定し、最適なアプローチを行う

データベースマーケティングは、常に変化する顧客の状況やニーズを的確に把握することができる、効率的かつ効果的なマーケティング施策です。

自社の顧客データの活用方法に悩んでいる方、新たなマーケティング施策を取り入れたい方は、データベースマーケティングの導入を検討し、自社の利益向上に役立ててください。

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またWEBMARKSでは、企業のWEBサイト運営や広報のご担当者様向けに下記の支援サービスを行っています。

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この記事を書いた人
佐藤あんな
6年制薬科大学→博士課程→大学の助教職→薬局薬剤師|将来やキャリアを考え、一念発起し、自由度・将来性の高いWebマーケターへの転身を決意。持ち前の明るさを生かし、WEBMARKS初の薬剤師×Webマーケターを目指す。13期生。
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