新しく商品を開発して、いざそれを市場で販売する際には、どのようなマーケティング戦略を考えればいいのでしょうか。
商品が市場で普及していくには5つの段階を経て浸透していきます。
それが「イノベーター理論」と言われています。
今回は、この「イノベーター理論」における、商品が市場に浸透していく段階ごとのマーケティングについて解説をしていきたいと思います。
Contents
イノベーター理論とは?
イノベーター理論とは、社会学者でもある、アメリカのコミュニケーション学者、エベレット・M・ロジャーズの提唱した理論のことです。
この理論は、新しい概念、習慣、商品などが普及するプロセスをそれぞれ、
- イノベーター
- アーリーアダプター
- アーリーマジョリティ
- レイトマジョリティ
- ラガード
といった層に定義したものです。
1962年のロジャーズの著書「Diffusion of Innovations」(普及学)では、新しいアイデアや技術が社会になぜ普及したりしなかったりするか、またどのように普及するかを説いています。
イノベーション要件
ロジャーズは新たなアイデアや技術が社会に普及していく中で、個人がそれを採用するための要件として以下の5つを挙げています。
イノベーション要件
・比較優位
従来のアイデアや技術と比較した優位性。まったく新しい技術の場合でも、同じ役目を担っていた代替案との比較になる。例えば、Eメールは郵便や電話という通信手段と比較して速度やコストが優位といえる。
・適合性
その個人の生活に対しての近さ。新規性が高くても、大きな生活の変化を共用するものだと、採用されにくい。
・わかりやすさ
使い手にとってわかりやすく、易しいものが採用されやすい。
・試用可能性
実験的な仕様が可能だと、採用されやすい。
・可視性
採用したことが他者に見える度合い。新しいアイデアや技術が使用されていることが、周囲の人から観察されやすい場合に、そのイノベーションに関するコミュニケーションを促し、普及を促進する。
引用:Wikipedia「普及学」“
イノベーター理論における採用者のカテゴリ
このロジャーズが提唱した、イノベーター理論の、アイデアや商品が普及・拡散する過程の採用者を以下のカテゴリに分けて、採用者数と時間軸をプロットした表が以下になります。
採用者のカテゴリはそれぞれ以下のようになります。
イノベーター
イノベーターは、革新的な商品やサービスなどをいち早く受容し指示する人々で革新的採用者。
主に年齢が若く、経済的に豊かである人が多くリスクの許容範囲も広いので新しいものを最初に採用するカテゴリです。
アーリーアダプター
アーリーアダプターは、革新的な商品やサービスなどを、比較的に早い段階で受容する人々でイノベーターの次に採用するカテゴリであり、年齢も比較的若い人が多く経済的にも豊かです。
イノベーターよりも選択が慎重であり、社会的な影響力が一番高く、オピニオンリーダーと呼ばれている。
アーリーマジョリティ
アーリーマジョリティは、革新的な商品やサービスを、追随的に受容し採用していくカテゴリです。
このカテゴリはある程度慎重さがあり、社会に浸透した時間経過ののち採用していきます。
およそ社会的に経済的にも平均的な層です。
レイトマジョリティ
レイトマジョリティは、革新的な商品やサービスを、社会の普及状況を確認してから受容し、採用していきます。
革新的なものに対しては懐疑的です。
経済的にも平均より低く社会的な影響力は低い。
ラガード
ラガードは、革新的な商品やサービスを、最後になって受容する、もしくは最後まで受容しないカテゴリです。
5つのカテゴリの中でも一番保守的であり懐疑的です。
年齢層も高く伝統を好む傾向があります。
また、社会的な影響力は最も低くなっています。
このように、新しい商品やサービスが市場に出ていく上では上記のような採用者をカテゴリ分けすることで、それぞれのカテゴリに対してのマーケティングを考えていくのです。
5つの採用者に対するマーケティング
イノベーター理論における、採用者のカテゴリを解説してきましたが、それぞれのカテゴリにおいてどのようにマーケティングを考えていけばよいのでしょうか。
それぞれのカテゴリごとに解説していきたいと思います。
イノベーターへのマーケティング
イノベーターの特徴は、年齢層も若く、革新的な商品やサービスなどをいち早く、察知して取り入れたいと思うタイプです。
とにかく、機能や性能などよりもいかにこの商品やサービスが最先端であるか、ということに興味を示します。
その欲求を満たすことが、イノベーターに対するマーケティングを行うポイントになるでしょう。
アーリーアダプターへのマーケティング
アーリーアダプターの特徴は、イノベーターのように目新しいことだけに着目するわけではなく、商品やサービスに対しての機能性なども視野に入れています。
そのため、アーリーアダプターを納得させるほどの機能やサービスに関する情報を提供することができれば、マーケティングのポイントになるでしょう。
また、アーリーアダプターは社会への影響力も大きいので、この時点で商品やサービスが売れるかというのは、マーケティングが成功するかどうかにも関わってきます。
アーリーマジョリティへのマーケティング
アーリーマジョリティの特徴は、商品やサービスにおいてある程度社会に浸透してから受容する、という慎重派のタイプでアーリーアダプターの影響を多大に受けます。
例えば、芸能人などがSNSなどで「この商品いいよ」などの宣伝を見れば試してみようと思う人が多いでしょう。
このアーリーマジョリティに対してマーケティングが成功するかは、アーリーアダプターを取り込めるかどうかにかかってきます。
レイトマジョリティへのマーケティング
レイトマジョリティの特徴は、ある程度社会に受け入れられて尚且つ、商品やサービスの機能性や安全性なども充実していなければ訴求することができません。
レイトマジョリティに対しては、いかにその商品やサービスがレイトマジョリティの求めるものか、というレイトマジョリティのベネフィットに合うかのポイントを押さえたマーケティングを行う必要があります。
ラガードへのマーケティング
ラガードの特徴は、年齢層も高く伝統的なものを好むタイプなので、商品やサービスが社会に浸透してかなりの時間を経てからでないと、受容することはありません。
ラガードに対しては、商品やサービスの販売実績など広く世間で関心があることを示すか、質が良くて低価格であるということを訴えることがマーケティングのポイントになるでしょう。
このように新しい商品がイノベーターからの受容が始まり、ラガードまで浸透していくには、かなりの時間もかかります。
それぞれのカテゴリでマーケティングを成功させるためには、それぞれに合ったマーケティングが必要になってくるのです。
社会への浸透の度合いなどもしっかり把握しながら、マーケティングの方策をたてなければなりません。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
新商品を世に出すためにはイノベーター理論のような、社会の背景を考えながらマーケティングを考えていかなければなりません。
やはり、出始めが一番肝心ということです。
その後は、長く続くものにしたいのか、新しいものを次々に生み出すのか、というのもマーケティングの方向性にかかってきます。
売れる商品やサービスが社会へ浸透していくには、現在ではSNSの影響が大きいでしょう。
これからこういった媒体もいろいろ新たなものが出始めればそれらに柔軟に対応していかなければ成功することはできません。
まずは、社会の流れを常に把握していくことが大切です。