現代社会では急速なテクノロジーの進化に伴い、ビジネスや日常生活の中でもDX化やAI化が進んでいます。
身近なところでみていくと
- タクシーの配車アプリ
- お掃除ロボットなどのスマート家電
- コンビニやスーパーでのセルフレジ
など、周りにあることが当たり前になってきています。
上記のようにDX化が急速に進んでいく中で、IT人材の不足が深刻な課題となっております。企業の競争力を維持・強化していくためにも、優れたIT人材の獲得が不可欠です。
しかし、獲得のために採用しても
「入社後のスキル不足・スキルの相違」
「採用してもすぐにやめてしまう」
「そもそも必要なスキルを持った人材がいない」
という事があるでしょう。
本記事では、以下の2点をポイントに紹介していきます。
- IT人材を獲得するためにリスキリングで育成するのがおすすめな理由3つ
- リスキリングを導入する上での重要なポイント4つ
読了後には、「今、IT人材の獲得はリスキリングの時代になっているんだ」と思えるでしょう。最後までご覧いただき、リスキリングを導入するきっかけとなれば嬉しいです。
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Contents
IT人材が不足しているって本当?
「IT人材が不足しているとよく聞くけど本当?」と思われている方も多いと思います。
そこで、その現状と今後についてみていきましょう。また不足している要因についても3つ分析しています。
IT人材不足の現状と今後
経済産業省はIT人材は2030年に最大で79万人不足するという試算(※1)を発表しました。
(※1出典:経済産業省 IT分野について)
金融業、保険業の労働者人口(※2)が159万人となっており、IT人材が不足する79万人という数字は約半数にもなります。
※2出典:総務省 労働力調査(基本集計)
少し大袈裟かもしれませんが、街から銀行や保険屋さんが半分減ると考えると、とても大きな数字ではないでしょうか。
このように、時代の急速な変化により需要と供給のギャップが生まれており、今も、将来的にもIT人材が不足している事がわかります。
IT人材が不足している要因3つ
①少子高齢化による労働者人口の減少(供給の減少)
日本では少子高齢化が進み母数である労働者人口が年々減っています。
2030年には65歳以上の高齢化率が32%となり、国民の約3人に1人が高齢者となることが推定されています。
更に2065年には40%近い高齢化率(※3)となり、若い世代が減っていくためIT人材の減少がより進んでいくと予想されているのです。
(※3出典:内閣府 人口減少と少子高齢化)
②拡大していくIT需要(需要の増加)
IT業界が急速に発達したことも要因の一つです。インターネットの普及から始まり、ビジネスにはパソコン、日常にはスマートフォンと日々の生活に溶け込んでいます。
また今まではITと程遠いと考えられていた、医療や農業といった分野でもITが必要とされております。
例えば農業では
- 温度や湿度、日照時間などの環境情報のデータ収集
(リンク: 農業ICT先⾏事例) - ドローンでの農薬の散布、稲の収穫などの機械の自動運転化
(リンク:ニュースリリース | 株式会社クボタ)
などがあり、生産性の向上にはITツールが欠かせなくなっているのです。
このように様々な分野でIT化が進んでおり、今後も需要は拡大していくでしょう。
③IT技術の進化に追いつける人材が少ないため(需給のギャップ)
IT技術は進化のスピードが急速で、次々と新しい技術が生まれています。そのため最新技術を扱う先端IT人材は常に不足傾向です。
経済産業省は、「IT人材需給に関する調査」でIT人材を従来型IT人材と先端IT人材に分けて、その需給を予測し需給ギャップを試算しました。
(出典:経済産業省 IT人材需給に関する調査)
技術の進化に追いついていける人材が少ないので、先端IT人材はこの先も不足していくと予想されています。
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IT人材の育成はリスキリングで!おすすめの理由3つ
上記してきたように、IT人材は不足しており、採用するのが困難になってきています。採用が難しいことで、既存の人材をリスキリングして、企業の求める人材に育成する事が増えてきました。
この章ではリスキリングをおすすめする理由3つをみていきます。
- 必要なIT人材を確保できる
- 社風や文化を継承していける
- スピード感ある人材戦略が組める
1.必要なIT人材を確保できる
新規採用でIT人材を育てていく場合には、まず人材を選別しなくてはいけません。その上で自社に必要なスキルを持っているか確認しなければなりません。
リスキリングで育成するなら、自社にとって必要なITスキルを選択し、そのスキルを既存の人材に身につけさせる事ができます。
2.社風や文化を継承していける
新しい人材を採用した場合、まず社風に慣れていかなければなりません。他部署との連携、上司や先輩とコミュニケーションをとっていくことも必要です。
自社内の人材を選択しリスキリングした場合なら
- 社風や自社文化とのミスマッチが起こりにくい
- リスキリングした知識や方法を社内の人間ともスムーズに共有できる
- 新しく習得したスキルをどう業務へ応用すれば良いのかイメージがしやすい
- 自社の強み、弱みを理解しているので事業に活用できる
と、社風や文化を理解した人材を更に活かすことができます。
3.スピード感ある人材戦略が組める
新規採用の場合には採用計画を立て、予算を組んだりと、実際に業務に取り組むまでに時間がかかります。リスキリングする場合には人材と習得するスキルを決めて進める事が可能です。
また新規採用の場合には外部要因が強いので、環境に左右されやすいです。リスキリングの場合には会社が主導で決定する事が多いためスピード感を持った人材戦略を進めていけるでしょう。
上記してきたように組織にとって利点が多くあり、リスキリングを活用している企業が増えています。
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そもそもリスキリングとは?政府も提唱している
経済産業省によると、リスキリング(reskilling)とは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」としています。
(出典:経済産業省 リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流)
政府も提唱しており無料のサイト(※3)を開設したり、助成金(※4)を設けて支援をしています。
※3:マナビDX
※4:人材開発支援助成金|厚生労働省
政府も本腰を入れているのでIT人材の育成をリスキリングで行う意味は大きいです。また、費用の負担を減らせますのでリスキリングを導入する際、助成金が対象の場合は活用しましょう。
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リスキリング導入のデメリット2つ
実際にリスキリングを導入した際、どのようなメリット/デメリットがあるのかみていきましょう。まずはデメリットの以下2点からです。
- 実力がつくまで時間がかかる
- 育成した人材が転職する可能性もある
メリットがあればデメリットもあります。導入に注意する点として参考にしてください。
実力がつくまで時間がかかる
リスキリングして実際に新しい業務を行っていくには時間がかかります。ITの知識が全くない人にいきなりプログラミングを学習してもらうのは難しいです。
しかし、人材選びを上手に行えば想定よりも短期間で実力をつけて成果を上げてくれることもあるかもしれません。人間には、得意不得意があります。しっかり見極めて適切な方向に導いていくと良いでしょう。
育成した人材が転職する可能性もある
リスキリングにより新しいスキルを習得した社員は、個人の市場価値が高まり、転職しやすくなります。野球でいうFAのように自分の市場価値を追求していくことは社会人にとっても当然です。
優秀な人材を流出させない為には、日頃から対話をして社内環境を良くしておくことも大切です。また将来のキャリアパスも明確に提示し、共有することで、会社への信頼が厚くなるでしょう。
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リスキリング導入のメリット3つ
リスキリングを導入するメリットはたくさんありますが、ここでは以下の3点を紹介します。
- 業務の効率化が図れる
- 新しいアイディアが生まれる
- 社員の満足度が向上する
組織にリスキリングを取り入れてそのメリットを最大化してきましょう。
業務の効率化が図れる
リスキリングにより得た新しいスキルを活用して業務をよりスムーズに進行できるようになり、工数の削減に繋がります。
また、各社員の得意な分野に再配置することで最大限のパフォーマンスを発揮し生産性の向上も期待できます。
工数の削減と生産性の向上により業務の効率化を実現できるでしょう。
また、新しいスキルでDX化を推進していき、作業を自動化することによって全体的な業務も効率化することができます。
新しいアイディアが生まれる
リスキリングで得た新しい知識やスキルは、社員の視野を大きく広げます。ふとした日常で様々な視点から新しい気付きがあるかもしれません。
また他社員や他部署との融合で新規事業やこれまでになかったアイデアが生まれる可能性があります。
これら新たなアイディアが生まれれば、組織全体が活性化され、好循環になり、持続的な発展につながるでしょう。
社員の満足度が向上する
社員がリスキリングにより新しいスキルを学ぶことで自信がつき、生産性の高い人材になれたという自己肯定感の高まりを感じれるようになります。
社員自身の士気向上につなげられ、その雰囲気が社内に浸透していくことで「私も」「僕も」と、社内でのモチベーションが高まっていくでしょう。
またリスキリングを導入することによって、様々な学びの場を社員に提供する事ができます。将来のキャリアパスを一緒に共有していけるので、満足度が向上するでしょう。
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IT人材のリスキリングを促進している企業の導入例
では次にリスキリングを導入している企業の実例をみていきましょう。
amazon
Amazonは2019年にリスキリングの取り組みを始めました。初期の段階では『アップスキリング(Upskilling)2025』と呼ばれるプロジェクトのもと進めていました。
投資金額としては、当初$700million(約760億円) としていたところを、$1.2billion(約1300億円)まで増やしています。
(出典:アマゾン Upskilling 2025)
at&t
AT&Tはリスキリングの先駆企業です。25万人の従業員のうち将来の事業に必要なスキルを持つ人は半数に過ぎないこと、約10万人は10年後には存在しないであろう仕事のスキルしか持っていないことを2008年時点で把握していたといいます。
(出典:AT&T AT&T – Sustainability Reporting – Digital Divide)
富士通
富士通は2019年に時田氏が社長に就任した際に、「IT企業からDX企業へ」というメッセージを社内外に発信し、企業変革を行うことを明言しました。
DX化のリスキリングにも力を入れており、オンデマンド型教育を拡充しています。学びのプラットフォームを開設し、オンライン上でいつでもだれでもどこでも、自分が必要だと思うコンテンツを学ぶことができます。
(出典:富士通 富士通ラーニングメディア)
日立
日立はITスキルを持つ人材の強化に向け、国内グループ企業の全従業員16万人にDX研修を実施しています。具体的なDX人材育成のプログラムとして、グループの日立アカデミーと連携。会社独自の研修プログラムを開発しています。
(出典:日立 DXを推進する人財育成:日立アカデミー)
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IT人材の育成にリスキリングを導入するポイント4つ
ここまででリスキリングを導入する事が良いと考えた方も多いと思います。ではどのように導入していけば良いでしょうか。
確認しておきたいポイントは以下の4つです。
- 獲得したいITスキルと人材の選定
- 社内環境を整える
- モチベーションが維持される仕組みを作る
- 社外のプログラムも活用する
組織の体制を整えてリスキリングをすることで、継続的に実施していくことができます。
1.獲得したいITスキルと人材の選定
IT人材の獲得において最初に考えるべきは、求めているスキルを明確にする事です。会社の事業や現状の問題点、今後の市場の変化などを考慮し、適したITスキルを選定しましょう。
そのITスキルを学習、活用に向いている人材を選びましょう。
「ITスキル×最適な人材」で必要な人間が育成できます。ここをしっかりと見極めることがリスキリングでIT人材を獲得する第一歩になります。
2.社内環境を整える
突然リスキリングを進めても、社員の反発を買ってしまうこともあるので周知が必要です。
他社の導入事例などを紹介して、理解度を深めてから始める方が良いでしょう。
また、実施する時期も大切です。緊急度や、業務の繁忙期などを考慮し、適切な時期を決めることをおすすめします。
そして、リスキリングは全社的に実施することが重要です。一部の社員だけで行うと、特別扱いしている様な印象を受け、組織への信頼度が下がりかねません。
全員同時にリスキリングをスタートできる環境にする事が必要です。
3.モチベーションが維持される仕組みを作る
リスキリングを導入しても単発的では意味がありません。社員のモチベーションを維持できるような仕組みを作りましょう。
例えば
- インセンティブや昇給などで待遇を向上する
- 定期的な研修会などでアウトプットの場を提供する
- 複数名で行うことで共に頑張る仲間を作る
- 資格試験合格などの目標の設定をする
- オンラインなどで社員に学習時間の自由度を与える
などが挙げられます。
一方的にリスキリングを導入しても社員のモチベーションを維持していくのは難しいので、しっかりとした枠組みを設計しましょう。
4.社外のプログラムも活用する
リスキリングを導入する際、コンテンツや学習プログラムは必要に応じてアウトソーシングを活用することをおすすめします。
理由は大きく分けて3つあります。
- ITスキルは専門性が高いので、社内でプログラムを開発するには時間と費用が掛かる
- プログラムが完成されているので即座に学習を開始できる
- 専門的な知識や経験を提供しており高い水準での教育効果が担保される
以上のようなことが考えられ、総合的に見るとアウトソーシングはリスキリングの実施を迅速かつ効果的に進める手段となります。
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IT人材のリスキリングにおすすめのスキル3選
最後にリスキリングにおすすめのスキルを3つ紹介します。
- Webマーケティング
- データサイエンス
- エンジニア
ITスキルの中でも企業の根幹を担っていけるポジションに必要なものです。もしスキルに悩んでいるのであればこの中から選ぶと良いでしょう。
Webマーケティング
Webマーケティングとは、Webを中心に行うマーケティング活動のことを指します。Webサイトに人を呼び込み、サイト上に掲載されている商品やサービスの購入を促すための活動です。
(出典:【リスキリング意識調査】20代の身に付けたいスキルは「Webマーケティング」の回答が「AI・ChatGPT」よりも多い結果に)
比較的若い世代への認知度が高く、次世代の職種でもあると言えます。現代社会のインターネットの普及に伴い、企業が集客や売上に繋げる手段として非常に重要な役割を果たしています。リスキリングして内製化出来れば非常に効果的でしょう。
データサイエンス
データサイエンスとは統計学、数学、データ解析などのスキルを駆使して、大量のデータから有益な情報を抽出し、ビジネス上の課題を解決する職種です。
近年のDX化やAI化の推進などにより収集可能なデータの種類と量が急激に増大しております。そして、これらの膨大なデータから、ビジネスに活用する知見を引き出すスキルとして注目を浴びています。
エンジニア
エンジニアとは開発の現場においてシステム設計やプログラミングを行う業務です。システム開発の責任を一貫して担うこともあり、メインの業務は必要な要件をまとめ、それらを実現するための設計図を描くことです。
完璧なプログラミングが行えても、目的や求める成果を汲み取れていなければ期待に反するシステムができあがってしまうため、非常に重要なスキルです。
おすすめのスキル3つ 図表
Webマーケティング | データサイエンス | エンジニア | |
習得難易度 | ◎ 初心者でも習得しやすい |
◯ | △ 初心者には難しい |
リスキリング期間 | ◎ 3ヶ月〜 |
◯ 6ヶ月〜 |
× 3年〜 |
実務での応用度 | ◯ マーケティング領域に限る |
◯ データ分析などに限る |
◎ 必要なシステムを作れる |
スキルにより上の表のような特徴がありますので参考にしてみてください。
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リスキリングを導入してIT人材を獲得しよう
現代社会に於いてIT人材は不足しており、今後も足りないことが想定されています。
必要なスキルを持ったIT人材を新規に採用するのは現状でも将来的にも困難でしょう。
それならば、リスキリングを導入して必要なIT人材を育てていけば良いのです。
リスキリングは企業にとって将来への投資であり、財産をつくる手段になります。
また業務の効率化や社員満足度の向上にも繋がります。
是非とも組織の体制を整え、リスキリングを導入して必要なIT人材を獲得しましょう。
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